小脳はどこ?大脳・脳幹との位置関係、虫部と小脳半球、小脳脚と英語(cerebellum)
小脳はどこにある?
「小脳って、大脳の中にあるんですか?」。いいえ、大脳の外です。後頭部の髪の生え際あたりを手のひらで包むと、その奥、頭蓋骨の底に近いところに小脳があります。大脳の後ろ半分の下に潜りこみ、脳幹の背中に貼りついた位置です。

頭蓋骨の内側の底は、前・中・後の3段のくぼみに分かれています。小脳が入るのはいちばん後ろ、後頭蓋窩です。上には小脳テントという硬膜のしきりが張っていて、大脳の後頭葉はこのテントの上に乗り、小脳の上面とは膜1枚で隔てられています。重さは成人で130〜150g ほど。
脳全体のおよそ1割の重さです。それなのに、神経細胞の数で数えると、脳全体の半分以上が小脳に集まっています。理由は顆粒細胞です。ごく小さなこの細胞が、小脳皮質の奥の層にびっしり詰まっています。
大脳・脳幹との位置関係
正中で縦に切った図を思い浮かべてください。前から順に大脳、その下に脳幹(中脳・橋・延髄)、脳幹の後ろに小脳が並び、小脳と脳幹のあいだには第四脳室という脳脊髄液の通り道があります。小脳はこの部屋の屋根です。
高さで言うと、小脳はおおよそ橋と延髄の背中側です。大脳と接する面はありません。あいだには必ずテントがはさまり、大脳からの情報も、脳幹の橋を経由して小脳へ入ってきます。
小脳の形と各部の名前
後ろから見ると、小脳はチョウが羽を広げたような横長の形です。真ん中の細い部分が虫部、左右に大きく膨らんだ部分が小脳半球です。名前は形から来ています。横じわの入った細長い中央部がイモムシのように見えるので虫部で、ラテン語の vermis も「虫」という意味です。
・虫部(ちゅうぶ):正中の細い部分で、左右の半球をつなぐ
・小脳半球:虫部の左右に広がる大きな部分で、小脳の体積の大半を占める
・片葉小節葉(へんようしょうせつよう):下面の前寄りにある小さな部分で、虫部の小節と左右の片葉からなる
表面には横向きの細い溝(小脳溝)が密に並び、そのあいだの細い高まりを小脳回といいます。大脳のしわより細かく、ほぼ平行です。深い溝は2本覚えれば足ります。第一裂が前葉と後葉を、後外側裂が後葉と片葉小節葉を分けています。葉や小葉の名前は教科書によって細かさが違うので、最初は虫部・半球・片葉小節葉の区別だけで十分です。
内部の構造と小脳脚
断面を見てください。表面の薄い灰白質(小脳皮質)の内側に白質が枝分かれしながら広がり、その模様が木の枝に見えることから小脳活樹(しょうのうかつじゅ)と呼ばれます。英語でも arbor vitae、生命の樹です。
白質の奥には、神経細胞が集まった小脳核が左右に4つずつあります。外側から歯状核・栓状核・球状核・室頂核。小脳皮質で処理された情報は、ほとんどがいったんこの小脳核に集められてから、脳幹や視床へ送られていきます。小脳の出口です。
脳幹とのつなぎ目が小脳脚で、左右に3対あります。どの脚がどこへつながるかは、名前の上・中・下と脳幹の上下をそのまま対応させると覚えられます。
・上小脳脚:中脳とつながり、小脳から出ていく線維が中心
・中小脳脚:橋とつながる最も太い脚で、大脳からの情報が橋を経由して入ってくる
・下小脳脚:延髄とつながり、脊髄や内耳の前庭からの情報が入ってくる
小脳のはたらきと3つの区分
小脳は動きを始める場所ではありません。大脳が出した運動の指令と、筋や関節、内耳から届く「いま体がどう動いているか」の情報を照らし合わせ、ずれを細かく直す場所です。コップに手を伸ばして、ちょうどよい位置で指が止まるのは、この調整が働いているからです。
はたらきから見ると、小脳は前庭小脳・脊髄小脳・大脳小脳の3つに分けて整理でき、名前はそれぞれ情報をやりとりする相手を表しています。どこが、何と連絡して、何を調節するのか。試験ではこの組み合わせが問われます。
・前庭小脳(片葉小節葉):内耳の前庭と連絡し、体の平衡と眼球の動きを調節する
・脊髄小脳(虫部と半球の内側寄り):脊髄から体の位置の情報を受け、姿勢や進行中の手足の動きを調節する
・大脳小脳(半球の外側部):橋を介して大脳と連絡し、指先の細かい動きなど熟練した動作の計画にかかわる
自転車に乗れるようになる、楽器の運指が速くなる。こうした動きの学習にも小脳が関わっています。繰り返すうちに誤差の直し方が小脳に蓄えられ、意識しなくても動けるようになります。ただ、小脳が運動以外の認知や情動にどこまで関わるかは研究が続いている分野で、教科書によって書き方に幅があります。
読み方と英語
小脳は「しょうのう」と読みます。英語は cerebellum(セレベラム)、形容詞は cerebellar です。大脳を表す cerebrum に、小さいことを表す語尾 -ellum が付いた形で、ラテン語で「小さな脳」という意味になります。
部位の英語もあわせて書いておきます。虫部は vermis、小脳半球は cerebellar hemisphere です。小脳脚は cerebellar peduncle で、上・中・下はそれぞれ superior・middle・inferior を前に付けます。小脳テントは tentorium cerebelli。
アプリで小脳を確かめる
小脳は隠れた部位です。頭蓋骨と大脳に囲まれていて、教科書の図だけでは、脳幹の後ろにどう貼りついているかがつかみにくいところです。3D解剖学アプリ teamLabBody なら、頭部を回転・拡大して、後ろや下から小脳を見られます。小脳半球と虫部は別の部位として表示されます。上・中・下の小脳脚も別々に選べるので、中脳・橋・延髄とのつながり方を一本ずつ確かめてみてください。

PREMIUM プランなら断面図も使えます。頭部を正中で切ると、小脳と脳幹、そのあいだの第四脳室の位置関係が一枚で分かります。
人体の構造の全てがわかる3D解剖学アプリ
チームラボボディProのダウンロードはこちらから!

よくある質問
- 小脳は頭のどのあたりにありますか?
- 後頭部の下のほう、首の付け根の少し上の奥です。頭蓋骨の底のいちばん後ろのくぼみ(後頭蓋窩)に収まり、大脳の後頭葉の下、脳幹の背中側にあります。
- 小脳と大脳はどう分かれていますか?
- 小脳テントで上下に分かれます。テントは硬膜でできたしきりで、その上に大脳の後頭葉が乗り、下の後頭蓋窩に小脳が収まっています。
- 小脳虫部と小脳半球の違いは?
- 虫部は正中の細い部分、小脳半球はその左右に広がる大きな部分です。はたらきで見ると、虫部は姿勢や体幹の調節、半球の外側部は手足の細かい動きの計画に主にかかわります。
- 小脳の英語と読み方は?
- 「しょうのう」と読みます。英語は cerebellum(セレベラム)で、ラテン語の「小さな脳」から来た語です。形容詞は cerebellar で、小脳半球なら cerebellar hemisphere と書きます。




